流星の絆 最終回

時効当日の戸神家にて。
功一 (二宮和也) 泰輔 (錦戸亮) は戸神政行(柄本明)が犯人だと追求した。
政行は14年前の事件の夜に、父の有明幸博(寺島進)を訪ねたことは認めて、
「私が行ったとき、君たちのご両親はすでに亡くなっていたんだ」
と、自分の無実を必死で訴えた。
「金が必要になったから、レシピを50万円で買ってくれないか?」
有明父から電話があり、
「料理人としては恥ずべきことだが、その話にのって金を送った、そして、あの事件の夜にレシピを取りに行った」
と説明した。
静奈(戸田恵梨香)は、
「金でレシピを売るなんて考えられない」
と認めたくなさそうだった。
でも、警察での捜査で、借金返済のため金策に走り回っていたこと、母の塔子(りょう)がコピーしてた姿を目撃されていたこと、は確認されていた。
政行目線での事件当日が回想シーンで挟みこまれていた。
「殺されているのを発見したが、レシピコピーだけ持って帰った。保身のためだった、自分の利益のために真実を隠し続けた、すまない」
と、政行は土下座して三人兄弟に謝った。
だけど、信じてはもらえない。
そこで、政行は傘を持ってきた。
事件の日に取り違えて持ち帰った犯人の傘だった。
大切に風呂敷に包まれて保管されていた傘もビニール傘だった。
政行から、詳細な傘の特徴と目撃した別人の様子が語られた。
刑事の萩村(設楽統) が、
「それならば、押収した傘が戸神政行の物のはずだが傘に指紋は残っていない、ふき取ってあった、なぜ」
と矛盾点を指摘した。
それを聞きながら、傘を凝視した功一、こわい、何かに気づいた?
功一は落ち着かなくなり、ずっとこわい目をしていた。
戸神政行からの証言を確かめるために、傘を二人で警察に持って行くことになった。
その間際に、功一が柏原(三浦友和) を、
「できれば二人で話がしたい」
と、呼び止めた。
それに応じて、無言で一緒に歩いて行った。
カレー屋の屋上にて。
功一は柏原に、
「事件が解決したら引退するって言ってましたよね?引退したらどうするんですか?」
と訊ねた。
「淋しいもんだよ家族もいないし、趣味もない」
と、雑談のように答えた柏原に、
「ゴルフは?」
と、功一は趣味にこだわった。
それが、事件の重要ポイントだったからだ。
「ボク見てたんですよ、あの夜、傘でゴルフのスイングの練習をしているの、あんなことしたら、傘の柄の部分に細かいキズができたでしょうね」
と、言った。
たしかに、戸神政行保管の傘にも柄にキズがあった。
事件時回想シーンをはさみながら、功一は推理を語った。
「犯人は被害者の子供が帰宅したあとから傘を拭いた」
そのときの回想シーンでは、14年前の柏原が傘の指紋を拭いていた。
いままでは、親しみのある刑事で描かれていたので別人のようだった。
子供の頃の功一は、上から柏原の傘素振りを見ていた。
「勘違いであってほしいと思った、よりによって一番親身になってくれた刑事さんを疑うなんて、俺がどうかしてんのかなって」
頼りにして父親のように思っていた人が自分達の親を殺した?
そんなことは考えたくもなかっただろう。
その時、柏原の携帯電話が鳴った。
荻村さんからの捜査報告で、傘の特徴が証言どうりらしい。
そこで、柏原は荻村に、机の引き出しの中にあるものについて頼んだ。
功一の推理は見事なもので、もうすぐ傘の指紋という証拠もでる。
柏原は、屋上から景色を眺め感想を言った後、
「普通のことしか言えねぇ」
と呟いていた。
「あんたが犯人なんだろ?柏原さん、答えろ!」
と叫ぶ功一にも、マトモな返答はなく、
「なんで殺したんだよ?柏原さん」
ここまできても、さん付けで呼ぶ功一、内心の複雑さを感じた。
柏原は、ようやく語り始め、
「簡単だよ、俺が悪い人間だから、悪くて弱い人間だから」
功一が涙目でまっすぐに顔を見て、
「なんで殺したんだよ!?」
と攻め寄ると、
「金だ」
と、シンプルに答えた。
その頃、机の中の手紙をみつけて読んだ荻原。
そこには、信頼していた先輩刑事柏原からの有明殺人事件の犯人との自白が。
「うそだろ!?」
これしか言えないだろう。
柏原は功一に詳しい事件の動機を語り始めた。
有明の家にあった借金返済用の200万円を息子の手術代にほしかった」
14年前の事件の回想シーンを挟み、詳しい経緯が語られていった。
柏原は有明幸博から、借金のことで相談を受けた。
刑事だからヤクザに顔がきく、と思われたらしい。
そこで『200万円で交渉してやる』と言って訪ねた。
有明宅で柏原は200万円を預かったが、その時になって、
「この金を俺に貸してくれないか?」
と言い出した。
その代わり、警察の力でヤクザを検挙して借金はチャラに、との申し出だった。
「そんなことしたら、俺がヤクザに殺される」
と言って、有明幸博とケンカになった。
自分が借金でレシピまで売る状態なのに、貸せるはずはない。
「金を置いてくれ」
と、包丁を出してきたのは有明父の方だった。
柏原の方は、ずっと丁寧で申し訳なさそうな顔に見えた。
だけど、実際に包丁を持って刺しにいったのは柏原。
その目撃者である有明母も刺し殺し、帰っていった。
その後すぐに、捜査口実で来た。
人を二人も殺してまで生かしたかった『息子』
そのための金がほしかった。
普通の人間なら、やらないし、平気な顔ではいられない。
事件の詳細を聞いた功一は、
「金なんかのために親を殺されて、金なんて、誰でもよかったんだろ、俺の親父は一人だけ、金のために、納得いかねーだろ」
と、柏原に掴みかかった。すると、
「もっと、早くこうするべきだった」
と、柏原は拳銃を取り出した。
最初は功一に向けていたが、すぐに自分の喉に向けた。
その頃、手紙を読んだ荻村と泰輔と静奈がカレー屋まえまで来た。
そこに、銃声が聞こえた。
屋上に三人も着いた。
そこには、拳銃を持った功一がいた。
柏原はまだ生きていた。
泰輔と静奈を制した功一が、
「俺がやる、捕まるのは俺一人で十分だ」
と拳銃を柏原に向けた。
「こんなにつまらない人間でも、殺せば(殺した方の)人生が終わる、自分でやる(自殺する)よ」
と柏原は言い、
「助け合って生きて」
とも言った。それには、さすがに、
「あんなになんか言われたくないよ」
と静奈が反発していた。
静奈は柏原との交流が少なかったから、素直に恨み事も言えたんだろう。
三人兄妹が並んで、柏原に問いかけた。
「教えてくれ、息子が死んだ後、俺たちに近づいて、あんた、何がしたかったんだ?」
「居たかった、ただ君たちと一緒に居たかった」
と柏原。
「あんたさ、息子が死んだとき泣いたのかよ、そこまでして守りたかった息子が死んだとき泣いたのかよ、だったら俺たちの気持ちもわかるだろ」
「なんであんたなんだよ、せっかく信用できそうな大人が見つかったと思ったのに」
柏原は土下座して、
「ホントにすまないことをした」
と、詫びの言葉しかなかった。
功一、泰輔、静奈、みんな泣いていた。
犯人がわかった屋上で、流れ星を見た。
だけど、誰もうれしくはない、スッキリもしない。
功一は柏原に拳銃を向けながら、
「あんたには生きててもらう、生きて罪をつぐなって、俺たちがどう生きていくのか、遺族が泣いたり笑ったりするところを見てもらう。死ぬより辛くてもただ生きてもらう」
死んでアッサリ精算、ではなくてよかった。
「死んで終わりなんてムシがよすぎるよ、生きてもらう、ただ、生きてもらう」
のセリフが印象的だった。
事件は時効日に犯人がわかって終わった。
功一の買出し中に事件のニュースが流れる、日常的風景がよかった。
荻村刑事は、事件の後のことを知らせにきていた。
林ジョージ(尾美としのり)が三人兄妹の見守り役を頼まれたときに、
「そんなこと、言われなくてやってきた」
と呟いていた。
林ジョージは事件の後はずっと一緒。
堅苦しいことは言わず、優しい目で見守り続けてきた。
だから、犯人がわかっても、人間不信にまではならなくて済んだ。
そう思わせてくれる人だった。
泰輔から、
「詐欺事件の自首しようと思う」
と、言い出した。
「人から奪った金で幸せになろうなんてムリ」
と、真っ当なことを言っていた。
それに功一も同意して、一緒に自首することとなった。
ただし、静奈だけは警察に自首させずに守りたかった。
そこで、行成(要潤)を呼び出して説得を頼んだ。
泰輔から、
「妹(静奈)はあなたのことが好きなんです」
との言葉もでた。行成を認めた証だ。
行成は、あるものを功一たちから買った。
その金で、詐欺のお金を被害者に返しはじめた。
『妄想係長高山久信 年末スペシャル』
泰輔は騙した時の銀行員になり、200万円を返した。
だけど高山が債権で出した金は150万円。
残りは南田への留学費用名目だった。
茶店で、あせりながらジュースを飲む泰輔の姿はたしかに小動物のようだった。
『ダイヤと嘘と優しいレストラン』
行成の新しいレストランに静奈だけが招待された。
「あなたが必要です、いまも将来も」
と、プロポーズして、話題になった柱のかげから指輪を渡した。
それは、詐欺に使うために用意した指輪、元は1000円。
それを知りつつ、1000万円で買い、静奈に渡した。
『詐欺の件も知っているが、それでも好きです』
の意味だと思った。
静奈のうれしそうな顔でその後が想像できた。
2010年。
功一は詐欺の主犯で服役中だった。
泰輔には執行猶予がついていた。
サギ(中島美嘉)がアクセル(功一)の帰りを待っていた。
出所予定日のハガキを一人で勝手に見て、よろこんでいた。
サギは店の買い物を間違えて、泰輔と静奈に叱られていった。
アリアケの店を戸神が詫びの気持ちから買い取り、洋食屋を再開することになった。
そこに、功一が服役から戻ってきた。
だけど、出迎えの反応がこわくて『何か印を』とハガキに書いていた。
店を見ると、千円札で飾りつけしてあり、なぜか『アクセル』と書いてあった。
店に入ると開店準備中なのに肝心のハヤシライスが作れないでいた。
三人で楽しそうに調味料を入れていた。
開店当日、店は満員の客だった。
行成も花を持ってお祝いに食べにきた。
「ご注文は?」
「ハヤシライス」
「終わっちゃいましたね」
の、いつものコントで終わった。
初回がコメディ満載だったのに、だんだんシリアスばかりが淋しかった。
最終回の犯人がわかった後の何分間はドシリアス。
どのセリフも印象的で、残したいものばかり。
書くのが長くなってしまい、さすがに疲れた(苦笑)
小説の終わり部分だけは読んでいたので、犯人は知っていた。
でも、認めたくない気持ちの方が多かった。
だから、最後まで『柏原さん』と呼んでいた功一に共感した。
林ジョージとサギのお笑い担当も好きだった。
だから、サギが惚れて待っていたというラストは功一の救いだったと思う。
最終回の後半に、コントシーンで和めたのもよかった。
シリアスだけでは救いのない犯人と動機だったと思うから。