流星の絆 9

静奈(戸田恵梨香) は行成(要潤)に、
「正直に答えてください、あなたは一体何者なんですか?」
と言われ、アリアケのレシピノートを見せられた。
功一 (二宮和也) と 泰輔 (錦戸亮) は姿を見せることもできずに心配していた。
静奈が戸神家の書庫に隠してきたはずのレシピノート。
それに行成が気づいたのは、母からプレゼントの香水の匂いだった。
行成が事情を問い詰めながら名前を呼んだとき、
「シホなんかじゃない、そんな名前で呼ばないで」
と静奈が大声で叫び、
有明静奈、それが私の名前」
と名乗ったところが、切なく感じた。
いままで騙し続けていたこと、名前も嘘だったことに、胸を痛めていたんだろう。
殺されたのが自分の両親であることも話した。
そして、兄が戸神政行を目撃していたこと、ハヤシライスの味がアリアケ父の味と同じだったこと、それで、容疑者と思い近づいた、と詳しい事情まで話した。
行成が書庫に入ったのは、静奈(まだ高峰)のための調べもののためだった。
部屋で三人のシーン。
「大事な場面で香水をもらって浮かれてんじゃねえ」
と、泰輔は静奈に怒っていた。
静奈は自分のミスを認めて神妙に謝っていた。
功一は、アリアケのレシピノートの扱われ方を想像していた。
「おれが一番おそれているのは、時効が成立するまで何もしないこと」
と言い切り、
「手を打たないと」
と言う泰輔に、
「柏原 (三浦友和)さんを味方につける」
と言い出した。
カレー屋の屋上にて。
功一と泰輔が柏原を呼び出していた。
「刑事じゃなかったら犯人殺してやる、そのくらいの覚悟でやっている。その言葉、信じていいんですね?」
と柏原に確認した。
そして、静奈も現れた。
そういえば、大人になっての静奈は刑事達とは会ったことがなかった。
「大人の女になった」
と再会におどろいていた。
功一が、
「すみません、わけがあって」
と謝ってから、詐欺師をしていたことまで白状した。
「きっとどこかに、被害者なんだから何をしたっていい、と開き直っていた」
との心情まで話して、頼りにしていることを感じさせた。
事件でわかっていることの説明をして、
「もう打つ手がない」
と、柏原に相談した。
それに対して、証拠になり損ねた傘の件を、
「脅しに使うことくらいはできるだろう」
と、言いながら教えた。そして、
「今日の話は聞かなかったことにする、あやまるなって」
で、去っていった。
詐欺師の件は、被害届けさえなければ不問だろう。
戸神家にて。
朝、父の政行と向かい合い厳しい表情の行成。
母(森下愛子)から、連れて来た彼女の話をされると、
「もう来ません」
と、ますます厳しい表情になった。
そこに、静奈から電話で、
「兄に会っていただけませんか」
と呼び出された。
カレー屋にて。
功一が店の中央で、カウンター席に行成、いつもと同じ。
なのに、マスターと呼んで親しくしていた男が、
有明功一です」
と名乗ってきた。
「嘘でしょ!?」
とおどろく行成に、
「兄です」
と静奈。
おどろいてウロウロしながら、
「あなた(功一)の差し金で彼女(静奈)が僕に近づいたのですか?」
理解力はバツグンな行成だった。
そこに、宝石商役だった泰輔も現れた。
功一の部屋にて。
三人兄弟と行くなりが話し合いをしていた。
アリアケのレシピノートを見ていた行成は、功一の言い分を否定できずにいた。
泰輔はも目撃者でもあるからか、行成にも感情的になった。
「DNA鑑定」
の言葉を出し、忘れ物が証拠になりえる、との話をした。
それを聞いた行成は、協力を申し出た。
「父を犯人だとは思いたくない、それ以上に真実が知りたい」
との想いからだった。
天体観測していた自分のノートも取り出し、
「父にはアリバイがないんです」
とまで言って、作戦をすすめてきた。
帰り道で。
泰輔と静奈は戸神行成の話をしていた。
味方になったことにおどろきながら、泰輔が、
「あいつ、ひょっとしたらいい奴かも、お前が惚れるのもムリはない」
と笑顔で認めていた。
戸神家にて。
「刑事たちが『DNA検査をさせてほしい、現場に犯人が置いていったものがあって』と来たからブラシと髭剃りを渡しておいた」
と、行成が政行に告げていた。
どちらも、平静を装っていた。
屋台にて。
柏原の携帯電話の待受場面が、功一と泰輔に代っていることに気づく萩村(設楽統)
「いつまでも死んだ息子の写真では」
と言い訳する柏原に萩村は笑顔だった。複雑。
そこに、功一から電話で報告。
そのときに、
「よかった、兄弟三人、助け合って生きててほしい、と思っていた」
との、柏原の言葉に、功一が
「詐欺の常習者でも?」
と問い、
「バラバラよりは」
と言われて、笑っていた。そして功一の口から、
「遺族が笑ったっていいでしょう」
との言葉もでた。それに対して、
「よく、がんばったな」
との柏原。
「食いに来てよ、ハヤシライス」
と言う功一は、柏原に甘えているようにさえ感じられた。
明るいシーンなのに、なんだか切ない。
カレー屋にて、
休む間のまかない用としてハヤシライスを作っていた功一。
「いよいよ時効だもんな」
という林ジョージ(尾美としのり)の普段どうりな口調が優しく感じた。
サギ(中島美嘉)も来ていて、
「ハッシュドビーフ
と呼んで、功一から叱られていた。
時効当日。
刑事の柏原と荻原の元に、静奈がやってきた。
荻原も幼い頃以来で、大人の女になっていることにおどろいていた。
三人は車に乗って戸神家近くで待機だった。
スーツ姿の功一と泰輔が登場。サングラスまでしていた。
「刑事に見える?演技するのは初めてだから」
と不安そうな功一だった。
『刑事遺族』
演出が「戸神行成」になっていた。
戸神家の応接間にて、
ニセ警察手帳を見せて、功一と泰輔は政行の前に座った。
「DNA鑑定の結果について、今回は時効ということで早めに・・・・裁判では一致とみなされる証拠です」
と説明した。
車の中で待っていた静奈が、戸神の母の姿に、
「あっ!」
と声を出したのは、巻き込みたくなかったから、だろうか?
応接間では、功一たちからの尋問に政行が、
「覚えてないよ、昔なくした傘のことなんか」
と答え、行成が、
「どうして傘だとわかったんだ?」
と信じられない様子で動揺していた。
そういえば、一度も「傘」との言葉は使ってなかった。
「俺達は刑事なんかじゃない」
と功一たちはニセ警察官とばらし、行成が、
「殺された有明夫妻の息子さんたちだ」
と紹介した。
政行は、どうしたものかと迷っている様子だった。
「なんで殺した?言えよ」
との、功一の静かな問いかけが逆にこわかった。
政行は観念したように立ち上がり、
有明さんの息子さんか、あの娘も関係しているんだろ」
と言われて、静奈や刑事達も部屋に入ってきた。
「どうりで、ハヤシライスで泣くわけだ」
この冷たい言い方に、泰輔が怒っていた。
刑事達も同席して事情を聞きはじめた。
「私は、あなた達のお父さんの味を盗みました」
と、政行は味の件を自供した。
「君たちのお父さんは偉大な料理人だった、でもギャンブルにも興味がありすぎた」
回想シーンで政行と有明の思い出。
戸神がアリアケのハヤシライスを食べにきた。
それがあまりに美味しくて、けなされたことも忘れた。
そして、土下座して、
「アリアケのハヤシライスの作り方を教えてくれ、金は払うから」
と頼んで断られた。
ところが、一ヵ月後に有明さんの方から連絡してきて、
「レシピを買ってくれ」
とのこと。
それで、事件の日の取りに行った。
有明さんからのレシピノートのコピーがあったから、その話には嘘はなさそう。
そして、
「俺が行ったときには、すでに死んでいた」
で、今回分は終わった。
行成は、最初のキャラと違って、公平で理解力もあるカッコイイ人になっていた。
ここまで事件の真相近くまでくると、コメディシーンはないようだ。
笑えるシーンも、好きだったんだけど。
時効にこだわっている三人は、直接復讐はもう考えていないんだろう。
事件解決が、親離れになるから。