魔王 10

葛西(田中圭)は麻里(吉瀬美智子)との関係を決して認めなかった。
そして「宗田(忍成修吾)を殺したのは自分」と言い続けた。
直人(生田斗真)は、それは葛西が愛する麻里を庇うための嘘と悟った。
友人と義理の姉が不倫という事実を知り、傷つき苦しむ直人。
成瀬の「いいんですか?真実が胸をつらぬくことになっても」を思い出していた。
しおり(小林涼子)に直人は、
「その人を殺人犯にしたのは俺だから・・・自分の過去を捨ててしまえたらどんなにいいか」
と苦しい胸の内を話した。
しおりは直人を励まし、
「これ以上、誰も傷つく必要はない」
と協力を申し出た。
事実と向き合い事件の捜査をする決心をした直人。
麻里に葛西のアリバイ証言を頼んだが不倫を知られるのをおそれ断わられた。
取調室で、麻里さんにアリバイ証言を頼んだ件を聞いた葛西は、
「俺のせいであの人が不幸になる方が辛い・・・あの人を守れなかったら俺は生きている意味がない、麻里さんを巻き込まないでくれ、俺はどうなったっていいから、頼む」
と直人に訴えた。
その様子をマジックミラー越しに見ていた麻里に涙。
そこまで庇ってもらったら愛を感じてうれしいかも、遊びの不倫じゃなかった。
宗田が殺された時間に葛西は自分と一緒だったとアリバイ証言した。
証言後、直人と麻里は兄で夫の典良(劇団ひとり)のところへ行った。
妻への怒りをあらわしながら、証言させた直人を殴った。
そこに父の栄作(石坂浩二)が登場。
「当分、離婚はするな、何を書かれるかわからない」
と言い放った。その言動に典良からも初めて、
「あなたはいつも正しかった。いつも絶対だった。でもいつも父親ではなかった」
との正直な想いがぶつけられた。
部屋を出た栄作は、また胸を押さえていた。体の調子が悪化している?
成瀬が葛西に麻里がアリバイ証言したことを伝えた。
戸惑っている葛西を説得するために、
「彼女が望んでいるのはあなたが救われる事です・・・その気持ちをわかってください」
と言ったが、その時の成瀬の表情がこわかった。
「自分も救われることを望まれているのに」と動揺している様子だった。
その後、警察署で成瀬と直人が出会った。
直人が、
「全てあなたの思う通りに進んでいます。これで満足ですか?」
と成瀬を怒鳴りつけた後で、
「おかしいんです、あなたを心底憎もうとすると英雄とあなたの母を思い出す、あなたを捕まえることを考えると、あなたを通して自分を見ているようでやりきれない気持ちになるんです。あなたは、俺と同じ顔をしてる」
と涙をためながら語り出した。
成瀬も犯してしまった罪に苦しみ後悔しきれない思いを抱いている。
その想いに一番気づけたのが直人だった。これは計算外だったのかな?
「真中友雄さん、すみませんでした!ずっと謝りたかった」
と頭を下げた直人、それを見て激しく動揺する成瀬。
「今さらそんなこと言われても・・・答えはもうすぐそこまできています」
と困った顔で答えるだけだった。
成瀬と会った直後、直人への赤い封筒が届けられていた。
中身は、宗田を殺した工場から出てくる典良の写真。とうとうきた!
直人は目を見開いて驚いていた。自分の兄が殺人事件に関係!?
成瀬の方は山野と公園で顔合わせずに話をしていた。
山野が、
「これでやっと英雄につぐなえる」
と切々と語る姿に少し違和感を感じた。復讐を楽しんでいた様子なのにと。
成瀬の表情は厳しく、
「あなたは十分につぐないました、これが最後の仕事です」
と言って、一通の赤い封筒を渡した。
直人は、サイコメトリーで典良が宗田にタバコの残像、を確認。
真実を知ってショックを受けた直人、歩きながら倒れ込み泣いていた。
『もう事件から手をひいていい、十分に苦しんだ』
と声をかけたくなるほどだった。
芹沢栄作も気弱になっていたのか、遺言状の件で成瀬と会っていた。
最初は、依頼人と顧問弁護士の穏やか関係だった。
自分に何かあったら息子達を支えてほしい、と頼む栄作。
それに成瀬は
「この11年間、芹沢家の事だけを考えて生きてきました」
と突然話し出した。
「ありがとうございました。変わらず元気でいてくださって。落ちぶれることもなく、他人を犠牲にして」
その言葉で、栄作は11年前に会いにきた英雄の兄の友雄を思い出した。
同じ言葉を言い放ち「会いにきます」と誓った少年。成瀬領=真中友雄
栄作はそれに気づき、一瞬おどろいたがすぐに笑い出した。
さすがに修羅場を何度も経験しているだろう男、余裕がある。
「11年前の私には正当防衛にすることが息子のためにできる最善だと思った」
と父としての想いを語り出した。
成瀬は母の話もして栄作を責めたが、
「自分のことはどうなんだ?君もまた、自分の目的の為に、他人を不幸にしている」
と諭され、
「11年前のあの時、直人は英雄君を刺してはいない。あれは不慮の事故だった」
と息子の言葉を信じていたけど公表できなかった真実を語った。
人生をかけて復讐してきた事件は事故だった。
成瀬には相当なショックだったよう。涙を流しながら、栄作からの、
「すまなかった」
を聞いていた。
栄作父は意外に息子思いのいい父だったのかな?
それが二人の息子に伝わっていない、そこが問題だったんだろう。
成瀬と栄作の直接対決は栄作の貫録勝ち?想像よりも静かだった。

直人は兄の典良を宗田殺しの重要参考人で令状を手配することを依頼した。
「真実を隠してはいけないんです」
心を決めた強い眼をしていた。
典良は麻里を連れての海外逃亡を考えていたが、麻里は拒否して大ケンカ。
直人がやってきて典良に「署に来てほしい」と言った、
「俺はいつだってお前を庇ってきた、それなのに」
と言った。たしかに最初の頃の兄は優しい目をした人だったのに。
「人が過去を忘れても、過去は人を決して忘れない、頼む兄貴、罪をつぐなってくれ」
と直人は説得しながら連行した。
成瀬は栄作からの言葉、
「君もまた自分の目的のために他人を不幸にしている、あれは事故だった」
を思い出しながら、呆然とした表情で歩いていた。
教会でしおりに会った。
しおりは聖母マリア像に必死で祈りながら泣いていた。
成瀬に気づいたしおりは、
「本当は迷ってるんじゃないですか?・・・暗いトンネルの中から出てきてください。本当のあなたは、弟さんを思う優しい人です」
といって泣き崩れた。それに対して成瀬は、
「僕は真中友雄ではありません。名前も過去も、全て捨てたんです。英雄が死んだ時から・・・僕には、愛なんて必要ない」
と心とは反対の言葉を残し立ち去った。
いまさら事故と言われても復讐のためだけに生きてきたことは戻せない。
後半になってからの成瀬は、魔王というより迷い人?
肉親を捕まえた悲しみの中にいる直人に赤い封筒。
その中にはタロットカードが2枚。直接対決?
いよいよ来週で最終回、とても淋しい。
ストーリー的に納得のいく結末を期待している。