魔王 7

池畑(六平直政)は倉庫で転落死した。
これで、成瀬領(大野智)の入れ替わり秘密は守られたはずだった。
直人(生田斗真)は「俺のせいで」との私的な感情に振り回され捜査していた。
父の芹沢栄作(石坂浩二)が雨野に操られ池畑の殺人?とまで疑っていた。
捜査本部では、池畑の死は「事故死」と処理されようとしていた。
直人は父の栄作と直接会って「本当のことを話してください!」と迫った。
その場に顧問弁護士になった成瀬が現れた。
直人は成瀬を部外者と呼んだが、栄作は『部外者は直人だ』と成瀬をかばった。
父の言動に傷つき、
「もう、父でも子でもありません」
と直人は部屋を出て行った。
父と子で疑い合い縁を切らせること、これも魔王の復讐の一つだろう。
その後、直人の同僚の倉田(東根作寿英)が倉庫近くで宅配便の伝票を見つけた。
差出人は池畑、宛名は「成瀬真紀子」で中身は「CD−R」
これが真相究明の証拠と直人は確信した。
CD−Rを送られた姉の真紀子は、
「友雄はお前だろう・・・僕の名前は領です」
と弟との入れ替わりの真相が語られていることに、衝撃を受けた。
それをまだ知らない成瀬は、楽しそうに花を選び姉の真紀子を訪ねてきた。
成瀬が真紀子を訪ねてすぐに、直人が宅配便の件でやってきた。
そのときの成瀬は本気でおどろいていた。
直人には何度も挑発的な言葉を言っているのに、入れ替わりはまだバレたくない?
「記者の池畑からCD−Rは届きませんでしたか?」
に真紀子は動揺することなく対応し、再生してみると音楽CDだった。
ガックリして病室を去る直人。
この後からが、今回の山場だったと思う。真紀子は成瀬をかばっていた。
真紀子は涙を流しながら、
「今日が終わっていく」
と語り出した。しっかりとした表情に見えた。
「死はこわくなかった。助かる見込みがない病気を患い、生きていてよかったなんて思ったことは一度もなかった。生きていても楽しいことはなかった。でも、私にはあなたがいてくれた。あなたが、私の希望だった。週に一度あなたに合えるのがうれしかった。私には領がいるんだ、もっと生きたいと思った」
これには、成瀬領も泣いていた。
真紀子は成瀬に事情を聞かなかった。それでも成瀬は、
「ゴメン」
と謝ってしまっていた。
入れ替わりには姉の真紀子も薄々は気づいていた。
それでも、両方が姉弟を楽しみ、心の支えにしていた。
証拠のCDを真紀子が成瀬領に渡したときの、
「あーあ、あのCD、友達から貰ったお気に入りだったんだけどな」
との冗談ぽい言い方が、逆に健気で切なかった。
「私はあなたを信じてる、亡くなった領が信じたように。お誕生日おめでとう、領」
最後まで弟の領として接した真紀子。それに、
「ありがとう、姉さん」
と涙でくじゃくじゃになりながら答えていた成瀬領。
別れの言葉は口にしなかったが、もう会うことはないんだろうな。
入れ替わっての仮の姉でも、肉親以上に感じていたんだろう。
その気持ちを大切にして生きていけていれば、魔王にはならなくて済んだ?
魔王は迷いなく計画的に復讐をする人、今の成瀬領はそうじゃない。考えてしまった。
典良(劇団ひとり)と妻の麻里(吉瀬美智子)が一緒のとき宗田(忍成修吾)がきた。
不倫がバレた麻里から葛西(田中圭)は別れを切り出された。
「私にはすべてを捨てるなんてできない!」
と言い切られた時の葛西の表情がこわかった。
宗田は「ホテルに雇え」などと脅迫、それに葛西はビンで殴りかかった。
その時は顔には当てなかったが「彼女に近づいたら殺す」と脅した。
夫は知らないと思っていた不倫だが、典良にも赤い封筒と写真が送られていた。
兄の典良は直人に、父がやろうとしていた取引を話し、
「息子に疑われるって、どういう気持ちだろうな」
と言っていた。
脅迫の原因が、自分の11年前の事件と知って、複雑な気持ちだっただろう。
成瀬と山瀬が公園のベンチで顔を合わせないようにしながら話をしていた。
山野が真紀子のことを、
「勝手に利用していただけなのに人がいい」
とバカにしていたとき、成瀬がとても不愉快そうに見えた。
山野は利用しているだけかもしれないが、真紀子には姉のような感情があったはず。
事務所に戻ると、事務調やしおり(小林涼子)から、突然の誕生パーティー
しおりからはクッキーのプレゼント。
空ちゃんからは、クレヨンで描いた自分の似顔絵だった。
そのときの成瀬の表情は複雑だった。
日常での幸せに包まれながら、復讐に迷いや罪悪感を感じていた。
「僕は天使なんかじゃありませんよ」
とつぶやいてしまった。
法に触れない方法を選んでいる、今からでも復讐はやめよう、と思ってしまった。
それでは、ドラマが続かない(苦笑)
しおりからの、
「私じゃ、成瀬さんの天使になれませんか?」
という告白に、思わず感情のまま抱きしめてしまった。
涙をこらえながらの片手抱き、両手じゃないところがまたいい。
今回は、成瀬が驚いたり泣いたりと感情を見せるシーンが多かった。
復讐計画は上手くいっても、周りの感情までは読めなかったんだろう。
魔王に迷いの回、だと思った。