セクシーボイスアンドロボ

前後編の両方を見て、やっと少しだけストーリーやテーマがわかった感じだった。
死に逝くものの最後の願いをかなえるためなら何でもやるプッチーニ
普段の姿は看護師の昭子(小林聡美)絵美理(ともさかりえ)恵(もたいまさこ)の三人。
それを知らなかったロボ(松山ケンイチ)は昭子と出会い恋におちた。
ニコ(大後寿々花)は真境名マキ(浅丘ルリ子)が殺される依頼があることを知った。
ニコはロボに相談しようとしたが昭子への恋に夢中で取り合わなかった。
そして、ロボは愛する人と共に暮らすために昭子の部屋にころがりこんでしまった。
ところが、字を見るとプッチーニへ「殺して」と頼んだのはマキ自身だった。
昔の恋人を置いて逃げてしまったことへの償いから「一緒に死ぬ」を選んでいた。
ここまで見ても、プッチーニになり殺人の願いまで叶えようとしている理由が理解不能
死に逝く者の心残りをなくすために、ラーメンスープを持ってくる程度は好意を感じた。
でも「別子を忘れないため」「病院で亡くなっていく者がいても気づいてもいない、また影響がないのが許せない」などと語られても???しか浮かばなかった。
セクシーボイスアンドロボは、設定は奇抜でも共感できるところがあるのがいいのに。
また、死に逝く者なら、どんな願いでも叶えてもらえる存在なんだろうか?とも思った。
最後の方は、中学校の教室でのメインキャストがそろい対決していた。
その中の絵美理のセリフで
「感情のスイッチを切っているだけ、看護師だからと人の死に慣れてるわけではない」
これだけは、言っていることは理解でき、かなり共感もした。
私は自分は感情の起伏が少ないタイプだとずっと思っていた。
でも実際は感情の上下が激しすぎるタイプだった。ささいなことでも気にしてしまう。
無表情にしているときが多いのは、無意識に感情のスイッチを切っていたからだった。
マキの元恋人が「友達だから許す」と言い残し亡くなっていった。
また、別の患者の最後の願いや別子からのメッセージは「しあわせになって」だった。
プッチーニは解散し、昭子は一人で旅立っていった。
ニコが昭子からロボへの伝言を捨ててしまったのは、なんとなくわかる気がした。
ロボの「浮気をした気がして帰りにくい」も理屈ではない感情だけはわかる気がした。
今回の名梨(岡田義徳)はカッコよかった。
ロボと昭子の部屋に乗り込んで、証拠を探すシーンはハードボイルド風だった。
久々に「プロフェッショナルな仕事をしよう♪」を聞けたのが楽しかった。
プッチーニの回でのロボは、オタクではなく一人の大人で恋する男だった、と思った。